車列が何百メートルも続く検問所、ラファハ、更地にされたエジプトとの国境線、難民キャンプの穴だらけの白壁、暗闇にシャカシャカと響く戦車の走行音。レイチェル・コリー……。
ジョー・サッコは、20年前にガザ南部のハーンユーニスとラファハに滞在し、丹念な聞き取り調査を行った。そして、さらに半世紀前にイスラエル軍が同地で行った大量殺戮の暗部を、作品にして世に出した。それが、コミック・ジャーナリズムの傑作『ガザ 欄外の声を求めて FOOTNOTES IN GAZA』だ。
サッコはなぜタイトルを「footnotes(脚註)」としたのか。彼にとって、ガザとは何だったのか?
サッコと同時期にガザ地区にいたジャーナリストの小田切拓とパレスチナ/イスラエル研究者の早尾貴紀が、当時の写真や地図を広げ、サッコの足取りを追い、脚註を付ける。同書を、飛びだす絵本のような、さらに躍動する一冊にしてみたい。
【出演】
●早尾貴紀(はやお・たかのり)
1973年生まれ、東京経済大学教員。パレスチナ/イスラエル研究、社会思想史研究。ヘブライ大学客員研究員として2002-04年(第二次インティファーダ期)に東エルサレム在住、その間に西岸地区、ガザ地区、イスラエル国内でフィールドワーク。著書に『パレスチナ/イスラエル論』、『ユダヤとイスラエルのあいだ』など、訳書に『ガザ 欄外の声を求めて』ジョー・サッコ、『パレスチナの民族浄化』イラン・パペ(田浪亜央江との共訳)、『ホロコーストからガザへ』『なぜガザなのか』サラ・ロイ(岡真理、小田切拓との共訳)などがある。
●小田切拓(おだぎり・ひろむ)
1968年生まれ。ジャーナリスト。イスラエル/パレスチナを専門に取材し、渡航回数は現在までで70回あまりに及ぶ。取材歴は20年を超え、「ガザ地区」、「隔離壁」、「オスロ合意」や「経済援助による占領加担」についての構造的分析で知られる。訳書に『ホロコーストからガザへ』『なぜガザなのか』サラ・ロイ(岡真理、早尾貴紀との共訳)など。
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《アーカイブについて》
※リアルタイムに観覧出来ない方は、配信後14日間、3月25日(火)23:59まではアーカイブが残っていますので、視聴可能です。
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